日本航空宇宙学会誌
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カーボンナノチューブのケーブル化の可能性とその技術的課題(<特集>宇宙エレベータの実現を目指して 第9回)
井上 翼
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2015 年 63 巻 9 号 p. 288-292

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抄録

カーボンナノチューブ(CNT)は電気,熱,荷重を伝える素材として大変優れた材料である.本研究ではその中でも機械特性に着目したものである.塩化物介在CVD法により作製した1mmを超える長さのCNTアレイは,一端をつまみ出すとCNT同士が連結したCNTウェブとなり,長尺方向に高い配向性を有する構造体に形態変化する.この乾式紡績で得られたCNTウェブに撚りを加えて紡績糸を作製した.CNTによる軽量高強度高弾性長繊維の実現を研究目的としている.紡績糸にさらに追撚や合わせ撚りなどを施しCNT同士のファンデルワールス結合度を強化して機械特性の向上を図った.長さ1mm程度のCNT短繊維を撚り合わせた紡績糸で,引張強度1GPa,ヤング率50GPaを超える高強度高弾性繊維が得られた.

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© 2015 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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