2026 年 74 巻 5 号 p. 166-170
1987年に打ち上げられた海洋観測衛星「もも1号(MOS-1)」は,日本で最初の,自主技術開発による地球観測衛星である.このプロジェクトにより,衛星リモートセンシングシステムの開発,運用,データ利用,ならびに,観測センサの開発,衛星バスの開発,運用に関わる技術を我が国自身の技術・経験・ノウハウとして獲得し,その後の地球観測プロジェクトへと繋ぐ重要なマイルストーンとなった.当時の米国や欧州の観測センサと比肩し得る性能を有する可視から電波に及ぶ3種類の観測センサ(MESSR, VTIR, MSR)の開発と運用,国際的なデータ受信網の設置,太陽同期準回帰軌道への投入と保持,高精度三軸姿勢制御の実現などにより,日本が宇宙開発において高い技術を持つことを世界に証明し,国際的な宇宙開発コミュニティにおいても重要な役割を果たす基盤を築いた.この功績により,航空宇宙技術遺産第三号として認定された.