北関東医学
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呼吸抵抗計 (MZR-4000) によるいわゆる呼吸抵抗 (3Hz 呼吸impedance) の検討
永田 稔伊藤 洋子小川 正行平木 陽一佐藤 ち江
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1976 年 26 巻 4 号 p. 323-331

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抄録

Oscillation法による気流抵抗の測定で加圧サイン波の周期を3Hzに固定した呼吸抵抗計MZR-4000 (国産N社) を用い, 農山村住民40歳以上の男460人女745人を対象にいわゆる呼吸抵抗 (RR) を測定した.
その成績から, 問診により閉塞性呼吸器疾患を疑われるもの及び正常に被検出来なかったものを除いた男434人, 女704人の測定値について検討した.
得られた主なる所見は以下の如くである.
1) RRは正確には3Hz呼吸impedanceと称すべきであるが, その分布は歪度 (+) の非対称分布となる.40~64才の平均値は男3.16女3.65 (cmH2O/l/sec.) であり, 性差は有意である (P<0.01).
2) FVC, FEV1.0 (vitalor), PFR (Wrigh'sPFmeter) とRRとの間には有意な (P<0, 01) 相関々係を認めるが相関係数 (r) は-0.3~-0.4程度であり高度な相関とはいえない.
3) 年齢とは正の, 身長とは負の有意な相関 (P<0.01) を認めるが相関係数はFVC, FEV1.0, PFRとの場合よりもさらに低値 (+0.142, -0.185) である.
4) 平均値+1標準偏差の数値を基に男4.0女4.5をRRのスクリーニングレベルとして仮設定し, 被検者中の閉塞性呼吸器疾患有症者のRRを検した.肺気腫を伴うものは全員スクリーニングレベルを超えるが気管支喘息, 慢性気管支炎 (非発作中) ではスクリーニングレベル以下のものも現れるが%FEV1.0又はPFR計測値を併用するならばほぼ全員をスクリーニング出来る.
5) 健常人にこのスクリーニングレベルを適用するときRRがスクリーニングレベルを超えるもののうち半数以上 (男54.2%女61.8%) はFVC, FEV1.0, PFRの何れか1つ以上が低値を示すものであった.残りの男22例, 女42例中, 男12例, 女19例は愁訴として “息切れ” をもつか心電図所見異常者であった.
6) 肥満者ではRRが低値 (低抵抗) なものの出現割合が有意に低率であった (P<0.05男女).さらに女の場合はるい痩者も同様傾向を認めた.
7) RRの再現性はかなり高く, 再度測定した計測値間の相関はr=+0.907を得た.
RR測定に要する時間は, 同時に3回くり返して測定しても1人3~4分で終了する.

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