北関東医学
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実験皮膚硬化症における皮膚グリコサミノグリカンの検討
内山 安弘
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1983 年 33 巻 1 号 p. 57-68

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抄録

Bis (4-amino-3-methyl-cyclohexyl) methane (BAMM) および汎発性鞏皮症患者尿由来ムコ多糖により, それぞれ惹起された実験皮膚硬化症マウス皮膚の構成ムコ多糖 (GAG) 量および分子種を検索した.さらにBAMM実験皮膚硬化症では, 一部マウスを低温環境下においた.GAG分離法として, 今回の検索ではコラゲナーゼ消化によりGAGを分離する方法を用いた.
1) BAMM投与マウス群においては, 低温環境下で, 同環境対照群に比し皮膚デルマタン硫酸, 総GAG量の増加がみられた.他方, 室温環境下でのBAMM投与群では顕著な変動はなかった.
2) 汎発性鞏皮症患者尿由来GAGによる実験皮膚硬化症では, 発病性GAGを部分純粋化した画分 (A0.8M画分) の注射群において皮膚デルマタン硫酸の増加がみられた.
3) 皮膚デルマタン硫酸が増加した実験鞏皮症では, 何れの場合も組織学的に実験鞏皮症惹起率が高く, また病変は汎発性鞏皮症の硬化期のそれに類似していた.
以上の成績は汎発性鞏皮症硬化期 (極期) での構成GAGの変動とよく一致し, 皮膚デルマタン硫酸の増加は鞏皮症に特徴的な変化と考えられる.
稿を終るにあたり, 御指導と御校閲を賜わりました石川英一教授に深く感謝申しあげます.
本研究の一部は文部省科学研究補助金 (一般研究 (A), 代表 : 石川英一) および厚生省特定疾患調査研究班補助金によったものであることを明記し, 関係各位に厚く謝意を表します.

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