抄録
spironolactone 治療中の原発性アルドステロン症患者5名において, spironolactone 投与の中止により1日尿中ナトリウム排泄量は, 中止前の85±6mmol/dayから中止後4日目には29±7mmol/dayと減少した後 (P<0.05), 8日目には48±6mmol/dayと再び増加して次第に中止前の値に復した.尿中ナトリウム排泄の増加に伴い尿中カルシウム排泄も中止前の1.1±0.1mmol/dayから14日目には2.5±0.5mmol/dayと有意に (P<0.05) 増加した.この間, 血漿レニン活性は中止前の2.1±0.6ng/ml/hrから中止後8日目には0.2±0.1ng/ml/hrと著明に抑制されたが (P<0.05), 血漿アルドステロン濃度は, 中止前387±150pg/mlより8日目に270±109pg/mlと高値を持続したまま有意な変化を示さず, 上記のナトリウム利尿は所謂 escape 現象であると考えられる.血中心房性ナトリウム利尿ペプチドはspironolactone 治療中の26±4pg/mlから治療中止後8日目には145±43pg/ml, 13日目には195±47pg/mlと著増しており (P<0.05), その増加はナトリウム利尿の時期とほぼ一致し, escape現象の一因と考えられる.また, 心房性ナトリウム利尿ペプチドには尿中カルシウム排泄を増加させる作用やレニン分泌抑制作用も報告されていることから, escape現象に伴う尿中カルシウム排泄量の増加, 血漿レニン活性の抑制にも心房性ナトリウム利尿ペプチドの関与が考えられる.内因性 digitalis 様物質について, 血中と尿中の digoxin 様免疫活性, 尿中のouabain 様結合活性として評価したが, いずれもspironolactone中止後有意に (P<0.05) 減少しており, escape現象への関与は少ないものと考えた.