北関東医学
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血清電解質 (Na, K, Cl) の統一化の試み
牛島 義雄長井 二郎原 文子押谷 節子永井 隆石井 静枝柳 善司古沢 満根岸 博町田 哲男小林 功
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キーワード: 統一化, 血清電解質
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1992 年 42 巻 5 号 p. 461-476

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抄録
群馬県下の22施設を対象に血清電解質 (Na, K, Cl) の統一化を試みた.最初に, 精密さの評価を, 次に精密さの維持の確認及び精密さの変動因子の定量を行い, 最後に常用標準血清を使用し正確さの評価を行った.
精密さの評価を検討した21施設の内, 一般的な判断基準を満たした施設はNa, 6施設, K, 16施設, Cl, 13施設で, 特にNaの精密さに問題がみられた.幾つかある判断基準の中では, 回帰式の切片あるいは傾き, 1回目と2回目の平均値の差の基準を満たさない施設が多かった.17施設が精密さの維持の確認の検討を行い, Kは全ての施設が許容限界に達したが, Na, Clは3施設で許容限界を満たさず, 前述の結果と併せ, NaとClはKと比較して精度良く測定するにはより管理が必要であることが示された.精密さの変動因子としてはNaでは日間変動要因が, K, Clでは日内変動要因が大きく, 日間変動要因および日内変動要因の内では, 両者共に, 短時間変動要因が長時間変動要因より大きくなっている.正確に値付けられた常用標準血清を使用し, 正確さのずれがどれ程か検討したところ, かなりのずれが存在することが明らかとなった.また, 正確な値と測定値から得られる補正式によりどれ程補正されるかも検討した.全体的にはずれは数分の1になることが示唆された.しかし, 精密さが充分でないため補正しても, 余り改善が期待できない施設もみられた.また, プール血清の検討からも今回用いた方法が施設間差の減少に有効であることが示された.
以上の結果は電解質の統一化に本検討に用いた方法が有用であることを示唆している.
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