北関東医学
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解剖学的検討にもとずいた肝左外側区域切除術式
小暮 公孝都築 靖村谷 貢小川 晃夫石崎 正利根本 雅明飯島 俊秀
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1992 年 42 巻 6 号 p. 635-642

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抄録

屍体肝5例の左外側区域の門脈, 肝動脈, 胆管, 肝静脈の分岐形式について検討した.門脈, 肝静脈の分岐形式には基本的に大きな差異が見られなかったが肝動脈, 胆管の分岐形式にはvariationが認められた.臨床例では左外側区域切除が行われた肝内結石症2例, 転移性肝癌1例, 原発性肝癌3例に検討を加えた.左外側区域切除手技では経肝円索法が5例に, 経鎌靱法が1例に行われた.経肝円索法は左外側枝を根部で切離できたが経鎌靱法では1cmほど左外側枝が遺残してしまい前者のほうが根治的手術が可能であった.しかし, 肝動脈と胆管の走行にはvariationが多いいので経肝円索法を行う場合には内側区域に入る脈管を損傷しないよう注意が必要である.なお, 悪性腫瘍における左外側区域切除術の適応は内側区域への門脈腫瘍栓の進展を念頭にいれて決定されるべきである.

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