北関東医学
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加齢, 課題への集中度と事象関連電位
岡本 一真
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1993 年 43 巻 3 号 p. 237-244

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抄録

聴覚事象関連電位は, 被検者の高次脳機能との関連が指摘されている.今回, 出現する各成分と加齢, 課題への集中度との関係を明らかにするため, count, ボタン押し条件でのオドボール課題を用いて事象関連電位を測定した.ボタン押し条件では, ボタン押し反応時間も同時に測定し, 平均値 (RT) と標準偏差 (SD) を算出した.ここで, RTは, 標的刺激の判断の時間に関係し, SDは, 被検者の課題への集中度を表すものと考えられ, 得られた結果から以下のことが示唆された.ボタン押し条件より, count条件の方が加齢の変化をより反映する可能性がある.N200は, 標的刺激の判断について, P300よりも直接関与している.P300の潜時は, 加齢により, 1年当り, ボタン押し条件で, 0.989msec, count条件で, 1.04msec延長する.P300の振幅は, 被検者の課題への集中度を反映し, P300は, 集中して課題に取り組むものほどより明確に出現する.

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