1993 年 43 巻 3 号 p. 295-300
脊椎管狭窄を伴う頸髄不全損傷7例に, 急性期methylprednisolone大量療法を行い, その後脊柱管拡大術を行った.保存的治療を行い臨床症状の固定後手術を行った5例中2例は, 術前に比べFrankelの評価で1段階の改善を示した.慢性期手術例は軽症例でも術後の改善があったのに対し, 重症例で受傷後早期に手術を行った2例は, 自然経過の改善と区別が困難であった.急性期手術は, 現在のMRIによる病態把握の範囲内では, 早期臥床を目標としてなされるべきと考えられた.Methylprednizolone短期大量投与にて副作用は見られず, 脊髄不全損傷例の保存的治療に有用と思われる.