北関東医学
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多発性骨髄腫細胞の超微細構造と臨床像との関連
倉林 均
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1994 年 44 巻 3 号 p. 181-192

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抄録

44例の多発性骨髄腫の患者で腫瘍細胞の透過電子顕微鏡所見と臨床像, 薬剤感受性及び予後との関連を検討した.核の成熟度によって骨髄腫細胞を成熟, 中間並びに未熟型に分類した.化学療法に対する反応性は骨髄腫細胞が未熟な核を持つ症例で最も悪かった.これに反して細胞質の成熟度と化学療法の反応性との間には相関関係は認められなかった.種々の核や細胞質の異常が観察されたが, 細胞小器官の配列異常, single sac loop-like structureとミトコンドリア内顆粒増加の認められた症例では化学療法に対する反応性が悪かった.また多くの種類の異常構造が見られる症例ほど生存期間が短かった.腎障害例では未熟型細胞質やbuddingが多く見られた.このような成績から骨髄腫細胞の電子顕微鏡的観察は本症患者の治療に有用な情報を提供すると考えられる.

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