北関東医学
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脳出血、脳梗塞、虚血性心疾患、閉塞性動脈硬化症、糖尿病における動脈硬化の進展
大動脈脈波伝導速度の臨床応用から
堺堀 和典
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1994 年 44 巻 5 号 p. 485-494

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抄録

脳出血48例, 脳梗塞65例, 虚血性心疾患40例, 閉塞性動脈硬化症10例また動脈硬化の発生, 進展と関連の深い糖尿病患者144例の大動脈脈波伝導速度 (PWV) を測定して健常者51例と比較検討した.いずれの群においても, PWVは年齢とともに直線的に増加したが, その増加程度は, 大きい順に, 閉塞性動脈硬化症, 糖尿病, 脳梗塞, 虚血性心疾患, 脳出血, 対照群であった.PWVからみると, 閉塞性動脈硬化症, 糖尿病, 脳梗塞では大動脈硬化の進展が特に速やかである.ただし, 疾患例と正常例のPWVは重なりが大きく, PWVを疾患の診断に直接役立てることはできない.糖尿病患者群においては, PWVの増加分と糖尿病罹病期間との間に正の相関がみられ, 合併症のある群ではPWVの増大が特に著明であった.これらの知見から, 糖尿病の細小血管障害と動脈硬化に基づく大血管障害との間の関連性が示唆される.なお, 糖尿病性腎症による血液透析患者群のPWVは, 非糖尿病性疾患による血液透析患者のそれと比べてより大であった.

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