北関東医学
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虚血性心疾患の診断におけるATP負荷99m-Tc心プールシンチグラフィーの診断的価値
運動負荷との比較
長岡 秀樹磯部 直樹久保田 幸夫飯塚 利夫今井 進村田 和彦鈴木 忠
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1995 年 45 巻 4 号 p. 321-329

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抄録

胸痛の原因追究のため冠動脈造影を施行した38例にATP及び運動負荷99m-Tc心プールシンチグラフィー (RNVG) を行い, 虚血性心疾患 (IHD) の診断に於けるATP負荷 RNVGの意義について検討した.冠動脈造影上で有意狭窄のみられない11例 (N群) と有意狭窄のある27例 (S群) を比較すると, S群では運動負荷で左室拡張末期容量 (LVEDV), 左室収縮末期容量 (LVESV) が有意に増大し, 左室駆出率 (LVEF) は低下した (P<0.05).これに対し, ATP負荷では, S群, N群ともLVESVは減少 (p<0.05) しLVEFは増大した (p<0.01).RNVGの壁運動評価によるIHD診断の感度, 特異度は, それぞれ, ATP負荷で22.2%, 100%, 運動負荷で77.8%, 81.8%であった.また, ATP負荷時のpeak filling rateはS群でN群に比し有意に低下していた.以上の結果をみるとATP負荷RNVGは, IHDの診断に対する特異度は高いが感度は低く, その実地応用には問題がある.

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