北関東医学
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副腎-Enucleationに関する研究
3. Glucose Tolerance Curveに及ぼす副腎-Enucleationの影響
内山 昭治
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1958 年 8 巻 6 号 p. 582-588

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抄録

副腎皮膚ホルモンは主として電解質代謝に関与する所謂mineralocorticoidと糖代謝に関連深いglucocorticoidに二大別し得ると云われている.Deane一派はこれら二種類の皮質ホルモンのうち前者はZona giomerulosa (以下z. g.と略) から, 後者はZona fasciculata (以下z. fと略) から分泌されるという皮質二元論を主張し, 多数の研究者の注目を集めた.然しこの仮説に対する反駁も少くなく, 現在尚最終結論には到達していない.副腎-enucleation (以下AEと略) の研究はこの問題を解決する上に当を得たものと考えられる.教室の中村はラットのAEにより被膜及びz. g.の一部が残存するのみであると報告したが, AE後の再生とglu-cocorticoidの機能が如何なる関連を有するかを追及することは興味深いものがある.然しラツトにおいてglucocorticoid特有の機能を検索する適当な方法は少く, Thorn test, 空腹時血糖の変化, 或は肝グリコーゲン沈着試験等が試みられているに過ぎず, しかもそれらの方法にはいずれも一長一短のあるうらみなしとしない.先に教室の戸部はラツトを用い静脈内ブドー糖負荷時のglucose tolerance curve (以下GTCと略) を詳細に検討し次の如き興味ある成績を報告している.即ち副腎全摘出によりブドー糖投与前血糖値の低下, GTCの変形並に一部の例における低血糖性痙攣の発現等を来すが, かかる変化は適当量のglucocorticoidの投与により著明な改善を見るという.そこで私は同様の方法によるGTCの変化を機能指標としてAE後の皮質再生状態を検索し, 前報における組織学的観察と比較し2. 3の興味ある知見を得たのでここに報告する.

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