2024 年 9 巻 1 号 p. 36-40
38歳女性,突然の意識障害で救急搬送され,くも膜下出血と診断された。頭部CT検査で,左側頭葉の脳内血腫を合併しており,クラゾセンタン投与で脳浮腫悪化が懸念された。そのため,day 1に破裂脳動脈瘤に対する脳動脈瘤塞栓術を行い,day 2よりクラゾセンタンと五苓散を投与開始した。水分出納の管理を行うことで,脳浮腫の悪化をきたさず,症候性脳血管攣縮もなく経過した。脳浮腫を認めるくも膜下出血の症例にクラゾセンタンを投与する場合には,水分出納を慎重に管理することが求められる。本症例は,五苓散投与がクラゾセンタンによる治療を補完したと考える1例である。