高分子
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高分子液晶
特にその配向について
飯塚 英策
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1972 年 21 巻 9 号 p. 463-470

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抄録

生体組織の液晶構造が幾例も見いだされている。一方,ある種の高等植物の若芽の先端が不均一磁場内で屈曲することが知られ,この現象と生体の液晶構造との関連が想像されている。このことから液晶の外界刺激に対する反応の研究が,生体機能の解明につながるものと考えられる。ここではポリペプチド液晶の,特に電場内および磁場内配向について,X線回折,赤外線吸収,レーザー光散乱,NMRなどの方法による最近の研究の大略について述べる。電気的永久双極子モーメントと反磁性効果とをもつポリペプチドは,液晶を形成するとき分子の協同的挙動のため数10V/cmの低電場あるいは数キロガウスの磁場内で,場の方向にきわめてよい配向を示しうる。そしてポリペプチド側鎖と溶媒のそれぞれの性質がその鍵を握っている。Swarm説をとるならば,初めの状態がコレステリックであるか否かとは別に,場の中で電気的あるいは磁気的に大きな異方性をもつ分子クラスターの形成が必要である。

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