高分子結晶・結晶化は高分子物理の分野の中でも最も基礎的な分野であると言える。そのため、古くから多くの研究が行われており、現在に至るまでなお精力的に研究が進められている。高分子の結晶化の基礎から、流動時に観測されるシシケバブ構造、生分解性樹脂およびシミュレーションについての最近の研究について簡単に紹介する。
高分子液体のレオロジー挙動は、分子パラメーターにより普遍的に記述できるとされてきたが、近年、この普遍性が伸長流動下では破綻することが明らかになった。とくに、高速伸長流動での高分子鎖のセグメント摩擦の低減が要因とされ、その程度は高分子や溶媒の化学構造や濃度に依存する。本稿では、この知見と摩擦に関する未解決の問題を概説する。