天然の希土類炭酸塩RE(CO3)OHには斜方晶系(kozoite)と六方晶系(hydroxyl-bastnäsite)の二種類の鉱物が知られている。hydroxyl-bastnäsiteの空間群はbastnäsiteと同じP-62cと記載されているが、報告されている六方晶系Nd(CO3)OH合成物では異なる単位格子と空間群(P-6)で解析されている。そこで一連の希土類元素で六方晶系RE(CO3)OHの単結晶合成を試み、構造解析を行った。RE = La, Pr, Nd, Sm, Eu, Erにおいて良質な単結晶が生成し、構造解析の結果、今回の合成物はhydroxyl-bastnäsiteとは異なる格子をもち、既報の合成物(RE = Nd)の結晶構造を支持することが分かった。しかし詳細に検討すると既報の合成物のモデルに比べてREイオンへの配位状態が若干異なっていることも分かった。