抄録
3価鉄を含むMgFe2O4は常圧常温ではほぼ逆スピネル型構造となる。本研究では放射光単結晶X線回折実験によりMgFe2O4の高圧高温相の一義的な構造決定を行った。MgFe2O4スピネルを焼結法で合成して出発試料とした。高圧高温合成実験には岡山大学地球物質科学研究センター設置の川井型超高圧発生装置USSA-5000を用いた。23GPa、1800℃で30分保持後クエンチして試料を回収した。得られた単結晶を用いて放射光X線単結晶回折実験を行った。装置はPF BL-10A設置の4軸回折計を用いた。構造解析には吸収補正プログラムABSORB(R.J.Angel 2004)、最小二乗精密化プログラムRADY89(Sasaki 1989)を用いて行った。格子定数はa=9.710(2)Å、b=10.154(2)Å、c=2.980(3)Å、空間群Pbnm、Z=4、変数をスケール因子、原子座標、等方性温度因子、サイト占有率にとり解析した。解析の結果、MgFe2O4の高圧高温相はMg、Fe原子が共に6配位となるような構造となった。(R値10%程度)これは今までMgFe2O4の高圧高温相として報告されていたCaMn2O4型構造とは異なる構造である。