抄録
上肢の運動無視では,両手動作が難しく生活に介助が必要となり病前の生活に復帰することが難しい.この運動無視に対して,確立した介入方法がないのが現状である.今回,症例は脳出血を呈し,両手動作時に麻痺側上肢の遅延や日常生活で麻痺側上肢の低使用を認めた.症例は麻痺側上肢を使用したときの遅延を認識するが「左手は生活で使わない」と発言し,自己の病態として捉えなかった.これらを運動無視の病態と解釈し,この症例に両手動作の認知運動課題を行うとともに,退院後の生活と復職に予測される困難な行為を助言した.結果,両手動作が改善し,症例の麻痺側上肢に対する志向性が変化し,両手を使用した生活を送り職場にも復帰できた.