高知県作業療法
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最新号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 篠田 かおり
    2023 年 2 巻 p. 3-12
    発行日: 2023/08/18
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    2005年の発達障害者支援法の施行と2006年の学校教育法の一部改正後,発達障害に対する整備がすすみ,社会の中で「発達障害」が認知されてきた.自閉スペクトラム症,注意欠如多動障害などの神経発達症群は増加しており,医療機関では就学前,障害福祉領域や教育関連領域では就学後の対応 が求められている.発達障害領域の作業療法士は,生活上の困りごとを解決するために,心理社会面・ 感覚統合機能,認知面,運動といった幅広い視野で子どもを理解し,介入する必要がある.
  • 稲富 惇一
    2023 年 2 巻 p. 13-18
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,作業療法士による脳性麻痺児のリハビリテーションについて先行研究を交えて総説的にまとめたものである.脳性麻痺児の症状や重症度は個人差が大きく,多岐にわたり,また年齢とともに変化するため,対象者の症状や能力,各ライフステージに応じた個別化されたリハビリテーションを提供する必要がある.これまで様々なリハビリテーションの方法が考案され実行されてきた.近年,質の高い研究報告が増え脳性麻痺(Cerebral Palsy: CP)に対する作業療法の効果は揺るぎないものになっている.本稿では,CPに対するリハビリテーションの変遷と効果的な作業療法について先行研究を交えて紹介する.
  • 高橋 一郎
    2023 年 2 巻 p. 19-25
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    訪問看護領域の子どもに対する作業療法は,医療機関とは異なり,子どもたちの実際の生活の場である自宅に訪問することから始まる.子どもと関わっていくにあたり,「経験していないことを学 んでいく」というハビリテーションの視点で支援していくことが大切で,また成長過程において,本人・ 家族のライフステージの変化を想定し,長期的かつ総合的視点も持ち関わっていくことが重要である. さらに子どもたちが地域で暮らしていくために「生活を支える」チームの一員として,様々な他職種・ 支援機関との協業が重要な要素であり,その関わりのなかでの作業療法士の役割について,体験を踏ま えて紹介する.
  • 清岡  賢大, 中田 晃介, 森下 誠也
    2023 年 2 巻 p. 27-34
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    乳幼児健診は,子どもたちの発育を経過観察していく上で重要な健診の一つであり,多職種の従事者が参加しそれぞれの専門性に見合った役割を果たす事で,子どもたちの健やかな成長をサポート している.その中での療法士の役割は,発達指標の確認や保護者への発達過程の説明・相談対応等のサ ポート・早期療育への橋渡しが主たるものである.今回,作業療法士として健診事業に参加して得た経験を基に,各年齢帯での評価のポイントや保護者との関わりについて述べ,「“作業療法士”が健診事業において果たす事のできる役割」に関して,私的な意見であるが紹介させて頂きたい.
  • 担当理事の立場から
    國友 晃
    2023 年 2 巻 p. 35-40
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,日本社会における特別支援教育や発達障害に関する理解が進み支援を必要する対象者が増加している傾向がある.高知県作業療法士会(当士会)では約 10 年前より特別支援教育委員会を設置して社会のニーズに対応するために活動を開始した.そこで今回,当士会が参画している自立活動充実事業,特別支援学級等サポート事業,外部専門家を活用した支援体制充実事業(巡回相談事業),通級による担当教員等専門性充実事業,香南市いきいき香南っ子相談会の内容を紹介した後,現状や課題を 私見を交えて述べる.
  • 石元 美知子, 吉村 大輔, 川添 教子, 森 瑠美, 金久 雅史, 清水 一
    2023 年 2 巻 p. 41-47
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:作業科学の中核的概念としてWilcockの “doing,being,becoming,belonging” の理論がある.今回,障害への気づきに困難さを示す高次脳機能障害事例が新たな役割獲得に至る作業過程について,Wilcockの理論を用いて検討した.方法:脳梗塞により高次脳機能障害を呈したA氏と,急性期・回復期・生活期にA氏と関わった3名のOTR に半構成的インタビューを行った.結果:A氏は自力で出来る作業が無い状況から,OTRによる補填手段を用いてセルフケアや家事を行うこと(doing) の成功体験の重積から,自己アイデンティティを再構築し(being),社会的役割獲得(becoming, belonging)への過程をたどっていた.結論:高次脳機能障害者においてもこの過程をたどることを確認した.
  • 佐野 秀平
    2023 年 2 巻 p. 49-53
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    ソーシャルフットボール(Social Football:以下SF)とは精神障害者が行うフットサル活動のことである.精神障害者が取り組むスポーツ活動は主に入院治療の中でレクリエーション的に行われてきた経過があり,それらが心身機能の回復に寄与する報告は多い.しかし,退院後の地域生活におけるスポーツ活動への参加の有無や実際の活動報告は少なく,精神障害者が所属できる競技スポーツチームの選択肢は狭い現状がある.高知県におけるSFは2014年よりCitRungs Tossa(シトラングス トッサ)が活動を開始.2016 年からは四国4 県のチームが参加するリーグ戦が開幕し,そこで結成された選抜チームで全国大会へ出場するなどして交流を深めている.今回,四国内で活動するSF選手にアンケートを実施し,地域生活を送る当事者がSFに参加した事でどのような変化があったのか調査したため報告する.
  • -参加している家族へのインタビューを通して-
    石本 美知子, 和田 寿美, 瓜生 浩子
    2023 年 2 巻 p. 55-62
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    高次脳機能障害のピアサポートグループである『女子会』に期待することを明らかにし,当会の存在意義と今後の在り方について検討することを目的とし,当会に参加している家族員を対象に半構成的面接調査を行った.結果,《当事者が生き生きと活動できる交流の場が欲しい》《当事者が障害と付き合う術を学べる場が欲しい》《同じ境遇の家族で分かち合う場が欲しい》《家族が自由に自分を解放できる場が欲しい》《脅かされずに安心していられる場が欲しい》《家族が当事者と伴走するスキルを高める場が欲しい》《家族が持たない専門的な情報や支援が欲しい》《社会に理解者を増やすための啓発活動をしたい》の8 つのカテゴリーが抽出された.
  • -安心できる場の重要性-
    足立 一
    2023 年 2 巻 p. 63-68
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,刑務所における福祉サービスとの連携は整備されつつある.今後の課題は,福祉サービス利用を希望しない者や罪名や内省状況により福祉サービス提供者が受け入れにくい者への帰住先の確保である.本事例は,放火行為を繰り返し,刑務所へ入所する知的障害のある者で,警戒態勢が強く,福祉サービスの利用は拒否的であった.作業療法では,一貫して安心して過ごせる場を提供した.徐々に現実的な話ができ,他者の助けを受け入れ,前向きな自己主張もできるようになり,出所前には帰住先が確保できた.本報告は,刑務所での作業療法による安心できる場の提供が,どのように役立つのか,作業療法経過を通して明らかにしていく.
  • 山口 和華, 高橋 一郎, 萩原 賢二, 稲富 淳一
    2023 年 2 巻 p. 69-73
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    外出は地域生活を送る上で欠かすことのできない作業であるとともに,社会参加としての役割を果たすための作業活動として重要性や必要性は高いとされている.しかし,近年,発達障がい児・者の余暇活動は興味・関心の偏りから子どもにとって適切な余暇活動を見つけることが難しく,その結果,家で保護者と過ごすことが多いという現状がある.そこで今回,余暇の過ごし方や支援方法に対する保護者の「支援ニーズ」に着目し,アンケートにて調査することにした.高知県では,障がい児・者の保護者を対象とした,余暇の現状に関するアンケート研究は数が限られており,支援の現状を充分に 把握するには至っていないと考え,アンケート調査を実施した.
  • 立位での下衣操作を含めた段階的難易度設定の導入
    公文 康輔, 杉本 憲翼, 中山 智晴, 有光 一樹, 山崎 裕司
    2023 年 2 巻 p. 75-78
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    トイレでの下衣操作が困難な片麻痺症例3 名に対して,立位保持と下衣操作を含めた段階的難易度設定によるトイレ動作練習を実施し,その効果について検討した.対象は,トイレでの下衣操作が困難な3 名とし,立位保持4 段階に下衣操作4 段階を含めた16 段階に設定し介入を行った.結果,4 ~ 7 日と早期に下衣操作を獲得することできた.立位保持と下衣操作を含めた段階的難易度設定の導入は,課題を細分化することで明確な指標となり,成功や上達を認識するうえで有効であったと考えられる.
  • ―高知県仁淀川町ハツラッツの魅力―
    金久 雅史, 有光 一樹, 杉本 徹, 桂 雅俊, 岡野 真也
    2023 年 2 巻 p. 79-82
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    医療・福祉の専門職が関与して提供される通所型サービスC は,卒業後早期に再びフレイルに陥る課題が散見される.高知県仁淀川町では通所型サービスC の手法を“住民主体”で実践する新たな試み“ハツラッツ”が展開されており,卒業生のモニタリング調査を実施した結果,卒業後も体力が維持され,持続してフレイルを予防していることが明らかとなった.ハツラッツは,支援対象者が卒業後には支援者に回るという好循環を生み出しており,持続したフレイル予防のためには,“住民同士・住民主体”の活動を展開していくことが重要である.
  • ~症例の志向性の変化に着目した介入報告~
    豊田 拓磨, 國友 晃, 沖田 かおる, 沖田 学
    2023 年 2 巻 p. 83-88
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    上肢の運動無視では,両手動作が難しく生活に介助が必要となり病前の生活に復帰することが難しい.この運動無視に対して,確立した介入方法がないのが現状である.今回,症例は脳出血を呈し,両手動作時に麻痺側上肢の遅延や日常生活で麻痺側上肢の低使用を認めた.症例は麻痺側上肢を使用したときの遅延を認識するが「左手は生活で使わない」と発言し,自己の病態として捉えなかった.これらを運動無視の病態と解釈し,この症例に両手動作の認知運動課題を行うとともに,退院後の生活と復職に予測される困難な行為を助言した.結果,両手動作が改善し,症例の麻痺側上肢に対する志向性が変化し,両手を使用した生活を送り職場にも復帰できた.
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