高知リハビリテーション専門職大学紀要
Online ISSN : 2435-2543
Print ISSN : 2435-2535
上方への牽引が閉眼片脚立位時間に及ぼす影響
宮﨑 登美子山﨑 裕司栗山 裕司平賀 康嗣稲岡 忠勝片山 訓博重島 晃史柏 智之
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2020 年 1 巻 p. 59-61

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抄録

本研究では,身体上方への牽引が片脚立位時間に及ぼす影響について検討した.対象は,30秒間の閉眼片脚立位ができなかった健常者14名の左14脚,右12脚である.年齢は23.8±9.0歳,身長は169.0±7.6cm,体重は68.5±16.0kgであった.片脚立位時間測定後,牽引条件で片脚立位時間の測定を実施した.牽引は,転倒防止用ベルトを上部体幹に装着し,背部中央でフックに引っ掛け,直上の滑車を通じて重錘によって牽引した.重錘は体重の5%,10%を準備し,ランダムに実施した.牽引なし条件,5%牽引条件,10%牽引条件における右片脚立位時間は,それぞれ12.3±9.8秒,20.5±10.3秒,28.9±3.9秒であり,有意な主効果を認めた(p<0.01).同様に左片脚立位時間は,12.6±8.0秒,21.1±10.4,27.2±7.3秒であり,有意な主効果を認めた(p<0.01).30秒の右片脚立位が可能であった対象者は,5%牽引条件,10%牽引条件の順に3名(25%),11名(90.0%)であり,10%牽引条件において可能者の割合は有意に大きかった(p<0.01).同様に左片脚立位では,6名(42.9%),12名(85.7%)であり,10%牽引条件において可能者の割合は有意に大きかった(p<0.01).以上のことから,身体上方への牽引は閉眼片脚立位の難易度を減少させるものと考えられた.

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© 2020 高知リハビリテーション専門職大学
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