本研究では,アキレス腱に対する振動刺激が,足関節背屈角度に与える影響について検討した.対象は,健常者20名である.まず,両側の足関節自動背屈角度を測定した.次いで,腹臥位にて右アキレス腱に対して1分間の振動刺激(100Hz)を加えた.左脚は対照群とした.治療直後,再度,背屈角度を測定した.振動刺激を加えた右背屈角度は,治療前7.0±5.5度,後8.9±5.1度であり,有意差を認めた(p<0.05).対照群の左背屈角度は,治療前6.6±5.5度,後6.8±4.7度であり,有意差を認めなかった.振動刺激を加えた右背屈角度の変化量は1.9±3.5度,対照群の変化量は0.2±1.5度であり,有意差を認めた(p<0.05).アキレス腱に対する振動刺激は,背屈角度を改善させるうえで有効なものと考えられた.