抄録
脳卒中発症後,家に引きこもりがちとなった維持期の失語症患者3名に対しスマートフォンアプリであるポケモンGOを利用し,散歩時間の増加を目的とした介入を行った.実験デザインは多層ベースライン法とした.ベースライン期ではポケモンGOを利用する前,介入期ではポケモンGOを利用している散歩時間を本人あるいは家族が測定した.また,Time Up & GO Testを行い歩行能力の評価を行った.その結果,散歩頻度は有意に改善した(17.7%→70.8%).3名の平均散歩時間は,ベースライン期2.60分,介入期24.59分であり有意に改善した.Time Up & GO Testは,平均1.05秒短縮した.ポケモンGOを利用することで散歩頻度ならびに時間が増加したことから,今回の介入は有効に機能したものと考えられた.