抄録
疼痛により起立・着座動作が困難であった腰椎圧迫骨折患者に対して疼痛を基準とした段階的難易度調整による起立・着座練習を考案し,その効果について検討した.対象は腰椎圧迫骨折を呈し,腰痛により離床を拒否していた.目標を「高さ42cmのベッド端座位から,Numerical Rating Scale(以下,NRS)5未満で起立・着座動作を連続で10回できる」とした.50cmの高さから開始し,累計10回の成功にて高さを2cm低くする段階的難易度調整を行った.疼痛がNRS5未満で起立・着座動作ができた際には称賛し,NRS5以上の場合はNRS5未満になるまで休憩した.そして,NRS5未満でできた回数を記録した.結果,介入から7日間で42cmからの起立・着座動作が可能となった.その際,疼痛の最低値はNRS2であった.今回の段階的難易度調整による介入は,対象者の起立・着座動作能力を改善させるうえで有効に機能したものと考えられた.