行動リハビリテーション
Online ISSN : 2758-7924
Print ISSN : 2186-6449
食事管理アプリケーションによる栄養素推定の妥当性
行動習慣改善のための評価尺度
濵埜 美羽鈴木 誠岩崎 優重村 泰毅趙 吉春山本 淳一
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2024 年 12 巻 p. 12-15

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抄録
行動リハビリテーションでは,日本食品標準成分表を用いた食事指導が行われている.しかし日本食品標準成分表を用いる方法では,対象者が毎日の食事内容と量をノートなどに記載しなければならない上に,記録された情報を評価者が日本食品標準成分表と照合させることによってエネルギー量や成分量を推定する必要があり,対象者の負担や時間的なコストが大きいという問題がある.食事管理アプリケーションによる栄養素推定の妥当性を明らかにすることができれば,食事と運動に関する行動習慣を改善する新しい指導法に繋がるものと期待される.そこで本研究では,食事管理アプリケーション「あすけん」と日本食品標準成分表によって推定されたエネルギー量,タンパク質量,脂質量,炭水化物量の一致性を検証することを目的とした.健常青年9名の1日における各食事の静止画を食事管理アプリケーション「あすけん」で解析し,推定されたエネルギー量,タンパク質量,炭水化物量,脂質量を日本食品標準成分表と照合させた.エネルギー量,タンパク質量,脂質量の推定では,級内相関係数が有意であり(エネルギー量, ICC(1,2)= 0.316, p = 0.0484; タンパク質量, ICC(1,2)= 0.599, p = 0.0003; 脂質量, ICC(1,2)= 0.476, p = 0.0047),Bland-Altman plotsで95%以上の差分データが2標準偏差内に分布していた.一方,炭水化物量の推定では,級内相関係数は有意でなく,Bland-Altman plotsにおいて差分データの7%が2標準偏差を超えて分布していた.食事管理アプリケーション「あすけん」と日本食品標準成分表によって推定されたエネルギー量, タンパク質量,脂質量はおおむね一致しており,両者による推定値は置換可能であると考えられた.一方,炭水化物量の推定については,「あすけん」と日本食品標準成分表の置換はできないことが示唆された.
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© 2024 行動リハビリテーション研究会
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