抄録
行動分析学の成果を応用することで,医学では治療不能とされてきた自閉症児の症状が改善することが知られている.行動分析学を使った治療の際に,脳の中では何が起きているのだろうか.行動分析学が定式化された60年前には説明する実力がなかった神経生理学も,1990年代後半からの進展に伴い,行動分析学の背景をある程度論ずることができるレベルに達してきた.本稿では,認知科学分野で発展した強化学習理論を媒介にして,行動分析学の基本概念である「刺激」-「反応」-「結果」の3項随伴性に基づく行動の獲得や形成が脳でどのように生じているのかを概観し,リハビリテーションへの応用可能性について論じる.