2019 年 8 巻 p. 13-15
今回,左大脳梗塞により重度運動麻痺を呈した症例の上衣着衣動作の自立を目的とした介入を実施した.上衣の着衣動作を7つの工程に分割し,それぞれに対して介助量によって点数付けを行った.ベースライン期では麻痺側袖通しに介助を要し,点数は16点(満点28点)に留まっていた.時間遅延法を用いた介入によって徐々に点数は改善した(23点).しかし,袖を肩まで引き上げる部分が不十分であった.介入方法を変更し,上衣の肘と肩の部分に視覚的プロンプトとしてテープを貼付した.その結果,口頭指示のみで着衣が可能となった(26点).その後,テープを除去しても着衣は可能であった.介入の前後で身体機能,精神機能に変化が見られなかったことから,本介入は上衣着衣動作の学習に有効に機能したと考えられた.