抄録
本研究では,治療成績のフィードバックと応用行動分析学に基づく基本動作練習の導入が,回復期の脳血管障害片麻痺者の基本動作自立度に与える影響について検討した.対照群は,2013年4月から2016年3月に当院急性期病棟に脳卒中で入院した77名である.介入群は,2017年4月から2019年2月に当院急性期病棟に脳卒中で入院した72名である.なお,両群の運動麻痺の重症度を一致させるため,回復期リハ終了時点の下肢Brunnstrom Recovery StageがⅣ以上の症例を対象とした.対象者の年齢,認知症合併率,下肢Brunnstrom Recovery Stageは,対照群と介入群で差を認めなかった.寝返りが自立・監視であった症例の割合は,対照群84.4%,介入群100.0%であった.同様に,起き上がりは対照群66.2%,介入群97.6%,端座位保持は対照群89.6%,介入群100.0%,立ち上がりは対照群63.6%,介入群92.7%,歩行は対照群64.9%,介入群87.5%であった.基本動作の自立割合は,すべて介入群で有意に高かった.以上のことから,治療成績のフィードバックと応用行動分析学に基づく基本動作練習の導入は,脳血管障害片麻痺者の基本動作の予後を改善させる上で有益なものと考えられた.