抄録
筆者は,2016 年,ソロモン諸島・ガダルカナル島でノコギリクワガタ属の標本を検する機会を得た.これらの個体は,ハスタートノコギリクワガタのようであるが,上翅が全体に暗黄褐色であるなど,従来知られている個体群とは異なる.これらの標本を原名亜種(ブーゲンビル島産)及びP. h. moinieri(マライタ島産)の標本と比較検討を行った.その結果,両亜種とは明瞭に区別できる形態的特徴が認められたため,P. h. nakagomei ssp. nov.として記載した.なお,ガダルカナル島からP. h. moinieri が記録されれている(藤田・2010)が,本新亜種との関連を今後精査する必要がある.この新亜種は,P. h. hasterti やP. h. moinieri とは,以下の諸形質状態により識別できる:♂では,1) 大腮は中央で強く内側に湾入し,内縁の基部から1/2 は内歯を欠く;2) 頭部の幅は眼の部分で最大である(他の2 亜種は,頭部の基部で最大である);3) 頭楯は中央が円錐状に突出する(他の2 亜種は,頭楯が三角状に突出する);4) 前胸背板は暗赤褐色である(他の2亜種は,前胸背板は黒色となる);5) 上翅は暗黄褐色で,縁が黄褐色である(原名亜種は上翅が黒色で,翅端のみ黄褐色である;マライタ亜種は上翅が黄褐色で,中央部が黒色となる);6) 前胸背板側片・後胸腹板の中央部・第3-7 節の腹板の両端・腿節の中央部は黄褐色である(他の2 亜種はすべてそれらが黒色となる).