抄録
絶滅が危惧されているマルバネクワガタ類の保護増殖技術の開発のために,アマミマルバネクワガタの雌成虫の産卵選好性に関する実験を実施した.選好性試験にはシイの褐色腐朽材と白色腐朽材由来のマットを用いた.その結果,褐色腐朽材由来のマットからのみ卵と1齢幼虫が確認され,白色腐朽材由来のマットからは全く見つからなかった.この結果からアマミマルバネクワガタの雌成虫は褐色腐朽材に対する産卵選好性を持つことが示唆された.また,今回観察された褐色腐朽材のマットへの産卵数は天然の餌腐植物を使用した場合と比べて大きな差異はなかった.一連の結果からマルバネクワガタ類の採卵に褐色腐朽材のマットを利用すれば天然の餌腐植物を使用した場合と同程度の効果が期待できることも明らかとなった.