2019 年 3 巻 8 号 論文ID: e00053
われわれはサウンド・スペクトログラムを用いて肺音解析を行っている。従来の時間軸を延ばした肺音波形解析に比べて,画像のパターン認識と数値化が容易であるという利点がある。呼吸音(肺胞音,気管支音)の区別に画像認識も数値化も有用であった。肺音解析による喘息のコントロールの評価や治療効果の判定が可能である。ウィーズも画像パターン認識によりモノフォニック・ウィーズとポリフォニック・ウィーズを明瞭に区別でき,発作の重症度判定も可能である。また,喘息のウィーズか,固定性気道狭窄によるウィーズの推定もできる。ウィーズの周波数は変動するので数値化は難しい。クラックルのパワースペクトラムは,コース・クラックルとファイン・クラックルの弁別に有用で,クラックル音のパワーの推移は病状改善,悪化の指標となる。サウンド・スペクトログラムによる肺音解析は画像化,数値化の両面で呼吸器疾患の病態解明,治療効果の判定に有用で,今後の発展が期待できる。