昆蟲.ニューシリーズ
Online ISSN : 2432-0269
Print ISSN : 1343-8794
茨城県八溝山麓における野生ハナバチの種構成と花の利用様式
久松 正樹山根 爽一
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 11 巻 3 号 p. 115-127

詳細
抄録

2000年4〜11月にかけて関東北部の八溝山麓(茨城県大子町)において野生ハナバチの種構成および開花植物の利用様式を調査し,6科58種,1741個体のハナバチを採集した.この中で種数から見て優勢な科はコハナバチ科(18種),ヒメハナバチ科(17種),ミツバチ科(13種)で,個体数で優勢な科はコハナバチ科(780個体),ミツバチ科(755個体),ヒメハナバチ科(135個体)であった.ミツバチ科のトラマルハナバチ(359個体)を最優占種として,11種が優占種と認められ,全個体数の80.8%を占めた.本調査で得られた種構成を1978年に同地域で実施した調査および茨城県内の他の3地域の調査結果と比べた.本調査と1978年の調査で優占種はほぼ共通しており,2つの調査間の群集類似度は極めて高かった(Cλ=0.80)が,1978年の調査で個体数の少なかった(全採集個体の1.0%未満の)57種のうち,未同定の9種を含む34種は本調査で採集されなかった.本調査期間中に138種の開花植物が記録されたが,このうち22科57種がハナバチによって訪花された.キク科の花上で最も多くのハナバチが採集され,全個体の31.2%を占めた.すべてのハナバチの中で,ニジイロコハナバチが最も大きな資源利用多様度(Bi=9.19)を示した.

著者関連情報
© 2008 日本昆虫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top