日本蚕糸学雑誌
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家蠶の絹絲腺モザイクに關する二、三の知見
針塚 正樹
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1940 年 11 巻 4 号 p. 267-273

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抄録

1.モザイク遺傅子を用ひて姫黄血黄繭+Yb, Ycと暗色白血白繭pM+, Ycとのモザイクを作る事が出來た。但し斑紋のモザイクは、斑紋が絹絲腺色と聯關せるにも拘はらす、必すしも絹絲腺色モザイクとはならなかった。
2.絹絲腺色モザイクの血色は、正常の黄血よりも淡色である。之は黄血と白血とが混合せる爲で、造血器官も體の左右にある事が想像される。
3.絹絲腺色モザイクは正常の金黄繭よりも淡色である。之は一本の繭絲が黄白2本の絹繊維に依り作られてゐる爲である。
4.淡色の黄血液中に浸漬された+Ycの白色絹絲腺は幾分淡線黄色に着色してゐたが、之は大部分笹色繭色のフラボン系色素で、極僅かに黄色繭のカロチノイド系色素が見られたがそれでも殆ど白色に近い儘で存在する事はYbYcと+Ycとでは絹絲腺夫自身に差のある事が知れる。
5.絹絲線の大小に關するモザイクも生じた、斑紋又は絹絲腺色とは無關係であった。

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