1953 年 21 巻 4 号 p. 176-182
1) 結紮蚕及び絶食蚕の前胸腺は形態学的には全く差異を認め得ない。
2) 結紮蚕前胸腺の腺組織の活性化は絶食蚕のそれよりも早い。
3) 前胸腺の分泌物質の生成及び分泌は核に接した細胞質部で, 核物質の協力の下に新生した小形の顆粒が細胞質の周辺へ肥大しつつ移動し, 漸次大形となり, 膨大化したものは崩壊して粘液となり, この粘液状物質が分泌されるように思われる。
4) 分泌物質の構成は粘液蛋白及び lipoid 性の強い物質を主体とするものと考えられる。