(1) 玉繭生産量歩合の傾向を通年, 春蚕期及び夏秋蚕期別に検討した。なお統計的検定の必要があるものについては, 連による検定法を応用した。
(2) 玉繭生産量歩合は全般的に減少傾向を辿つており, とくに1917年頃, 1930年前後及び1944年頃に大幅な減少がおこつている。
(3) これらの諸傾向を春蚕期, 夏秋蚕期については蚕品種の面から考察し, 蔟器及び上蔟法等の面からの概略的な考察は通年について行つた。なお玉繭生産量歩合が蚕品種の変遷と高い相関関係にあることを, 戦後の春蚕を例にとつて順位相関係数を用いて検証した。
(4) 1944年以降の玉繭生産量歩合には異常な傾向があることを, Mann のT検定を用いて検証した。しかしこれに対する結論は一応保留して, 春蚕期と夏秋蚕期との間に判然とした差が認められなくなつたことを指摘するに止めた。