1959 年 28 巻 5 号 p. 313-316
1) 繭層ラウジネス, 繭層練減, 繭層重, 繭糸量, 繭糸長, 繭糸繊度における同系統の2品種の相反交雑によるheritabilityの消長をみるため, 日日交雑及びその反交, 支支交雑およびその反交についてheritabilityを推計した。
2) 供試した交雑において各形質とも雌蛾によるheritabilityは常に雄蛾のそれより大きい。
3) 供試した相反交雑において, 繭層練減, 繭糸繊度, 繭層重のheritabilityは雌蛾および雄蛾による数値に大差はなかつた (但し繭層重における日日交雑の場合を除く)。
4) 繭層ラウジネス, 繭糸量, 繭糸長のheritabilityは相反交雑を行うことによりかなりの彷徨を示した。
5) 以上のことから, 同系統を交配する場合, 母蛾のheritabilityは常に大きいが, 形質によつては品種個有のheritabilityも見逃せないと推定した。