日本蚕糸学雑誌
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28 巻, 5 号
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  • イオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーによる桑葉の細胞質蛋白質および葉緑体蛋白質のアミノ酸組成
    渡辺 忠雄
    1959 年 28 巻 5 号 p. 271-276
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1. 桑葉並びにホーレン草の生葉をpH7.0の緩衝液中で磨砕するWILDMANらの方法により桑葉より細胞質蛋白質及び葉緑体蛋白質を, ホーレン草より画分I, 画分II蛋白質並びに葉緑体蛋白質を分離した。
    2. これらの分離した蛋白質のアミノ酸組成をイオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーにより定量した。
    3. その結果桑葉の細胞質蛋白質と葉緑体蛋白質のアミノ酸組成の間には著るしい相違がなく, これらは又ホーレン草の画分I蛋白質並びに葉緑体蛋白質とよく似たアミノ酸組成を有することを知つた。
  • 清水 滋, 堀内 彬明
    1959 年 28 巻 5 号 p. 277-280
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1) 家蚕の卵殻には塩酸に含まれたFeC13によつて染着する品種と染着しない品種がある。
    2) 支那種および南支那種に属する多くの品種は染着し, 欧州種および日本種に属する多くの品種は染着しない。琉球種および朝鮮種には染着するものとしないものとがある。
    3) 染着性は不染着性に対して優性で, F1はすべて染着し, F2において3: 1に, 戻し交雑においては1: 1に判然と分離した。
    稿を終るに臨み, この研究の端緒において色々とお世話になつた愛知県蚕業試験場の苅谷場長および当時の蚕糸試験場武豊支場の尾藤支場長, また終始御助言下さつた蚕糸試験場の高見技官に対し厚く御礼を申し上げます。
  • 清水 滋, 堀内 彬明, 倉田 和平, 波島 千恵子
    1959 年 28 巻 5 号 p. 281-286
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 横山 忠雄
    1959 年 28 巻 5 号 p. 287-294
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1) 正常蚕をある程度減食すると遺伝的不眠蚕の場合と似た不完全眠蚕が得られる。
    2) 以上の不完全眠蚕ではエノサイトは正常に近い状態を示し, 体重の変化と脂肪細胞の分裂については遺伝的不眠蚕における不完全眠蚕と同様の所見を得た。
    3) 著者の取扱った遺伝的不眠蚕はエノサイトと何等かの機構で関連ある栄養不足によるものと考えられる。
    4) 人工的不完全眠蚕を得るための研究から蚕の栄養と眠との関係について若干の資料を提供することが出来た。
    5) 栄養不足蚕が死ぬ直前, 貯蔵養分の用い尽された時に, マルピギー管および後部消食管に著しいグリコーゲン反応が現われることは栄養生理上興味ある点である。この現象は遺伝的不眠蚕でも見られた。
  • 石川 誠男
    1959 年 28 巻 5 号 p. 295-298
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    家蚕の幼虫および蛾の背脈管から細胞内電極を用いて静止電位 (40mV前後) および活動電位 (50~55mV) を記録した。活動電位を分析すると急な立上りのスパイクは10~15mVのovershootを示し, それに続いて陰性後電位, 陽性後電位があり, 陰性後電位は微妙な環境条件によって支配されやすく, 蛙や哺乳動物等の心筋の活動電位に類似した形を現わすこともあった。また2つのピークをもつ活動電位が観察される場合もあり, 特殊な例としてoscillationを示す活動電位が1秒から1.5秒にわたって続く場合もあった。これちについて若干の考察を行った。
  • (V) 飼育に適当な温湿度における蚕体・蚕糞及び蚕座からの水分蒸散量
    布目 順郎, 有川 孝男
    1959 年 28 巻 5 号 p. 299-301
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    各令蚕児の飼育に適当な温湿度のもとにおける蚕体, 蚕糞及び蚕座からの水分蒸散量を毎日測定した。
    蚕体と蚕糞についての傾向はさきに報告した一定温湿度 (25℃, 70-80%) のもとにおける場合と比較して大同小異であったが, ただ各眠期の体重1g当り蒸散量並びに全令を通じての1頭当り蒸散量において比較的大きな値を示した。前者は眠期を乾燥状態 (60%) に保ったことによるものであり, 後者は供試蚕の体重が比較的大きかったことによると思われる。
    尺坪当り蚕座からの蒸散量はV令期において特に大きな値を示したが, これは該期における給桑量, 蚕児の物質代謝量及び蚕糞排出量が急激に増したことによるのであり, これが該期における蚕座を多湿に導く原因をなすと思われる。
  • 有賀 久雄, 渡部 仁
    1959 年 28 巻 5 号 p. 302-307
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    中腸型多角体病抵抗性, 感受性等の数品種を用い, それらの原種と交雑種とにつき, 5令起蚕低温処理による2種多角体病すなわち膿病 (N) と中腸型多角体病 (C) 発生の程度を比較検討した。
    (1) 無処理区においては, 交雑F1は両親原種よりも膿病蚕 (併発型を含む) および中腸型多角体病蚕 (併発型を含む) の発生が少ない。すなわちF1は雑種強勢によつて, 両種多角体病に対して抵抗力が増大する。
    (2) 中腸型多角体病に対しての抵抗性品種間の交雑F1よりも, 感受性品種間の交雑F1のほうがこの強勢の程度が強く現われる傾向が認められる。
    (3) 交雑F1はその両親原種よりも, 低温処理 (5令起蚕, 5℃, 24時間) によつて誘発される膿病蚕 (併発型を含む) の数が多い。しかも比較的抵抗力の強い品種間の交雑F1において, 誘発される多角体病が多い傾向がある。
    (4) 中腸型多角体病 (併発型を含む) についてみると, 春蚕期では上記膿病の場合に似ているが, 夏蚕および晩秋蚕期では交雑F1の低温による誘発率は, ほぼ両親原種のそれの中間の値を示す。
    (5) 低温処理による多角体病誘発率の低いものが, 無処理の場合にも多角体病発生率が低いとはいえないように考えられる。
  • 石川 義文, 浅山 哲
    1959 年 28 巻 5 号 p. 308-312
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    5令蚕児に中腸型多角体病ウィルスを接種した後, その発病の有無, 程度および時期について調査し, 変態に伴う中腸組織における多角体の転位状態を病理組織学的に追究した。
    1. 5令蚕児に中腸型ウィルスを経口接種すると, その中腸の円筒細胞に多角体が出現する。そして初期に接種したものは後期に接種したものに比し, 上蔟までに発病する個体も多く, また, 多角体形成量も多い。そしてこのような個体でも化蛾する場合がある。
    2. 営繭後変態に伴う多角体の転位状態を病理組織学的に調べたところ, 多角体は旧組織と共に脱落し, その中腸内腔に向つて転位し集積され, 後新生組織に包被されさらに新生組織にもその後多角体の形成が認められる。
    3. 感染した蛹や蛾の中腸は健康な蛹や蛾のそれに比して大きく, かつ帯灰色ないし帯褐色を呈す。
    4. 転位した多角体は, 接種試験の結果強い病原性を有し, かつ種々のテストの結果真正多角体であると考えられる。
  • (IV) 同系統の相反交雑におけるHeritability
    土屋 精三, 倉島 秀雄
    1959 年 28 巻 5 号 p. 313-316
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1) 繭層ラウジネス, 繭層練減, 繭層重, 繭糸量, 繭糸長, 繭糸繊度における同系統の2品種の相反交雑によるheritabilityの消長をみるため, 日日交雑及びその反交, 支支交雑およびその反交についてheritabilityを推計した。
    2) 供試した交雑において各形質とも雌蛾によるheritabilityは常に雄蛾のそれより大きい。
    3) 供試した相反交雑において, 繭層練減, 繭糸繊度, 繭層重のheritabilityは雌蛾および雄蛾による数値に大差はなかつた (但し繭層重における日日交雑の場合を除く)。
    4) 繭層ラウジネス, 繭糸量, 繭糸長のheritabilityは相反交雑を行うことによりかなりの彷徨を示した。
    5) 以上のことから, 同系統を交配する場合, 母蛾のheritabilityは常に大きいが, 形質によつては品種個有のheritabilityも見逃せないと推定した。
  • I. 分生胞子形成の過程
    三枝 隆夫
    1959 年 28 巻 5 号 p. 317-319
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    桑裏白渋病菌分生胞子の形成過程を観察し次の如き知見を得た。
    1. 分生胞子は24~30時間に1個の割で担子梗上に求底的に形成される。
    2. 分生胞子が最も高い発芽率を示すのは形成後5~24時間経過した時である。
    3. 分生胞子が担子梗に着生している間は決して発芽しない。
  • 長谷川 聖人, 坪井 擾
    1959 年 28 巻 5 号 p. 320-326
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    鉢植の桑を用いて実験的に氷結法を試み, 葉温の変化を中心に幼葉に対する氷結法の効果を検討した。
    1) 氷結法実施中の葉温の変化は第1, 2, 3図に図示した。
    2) 連続的に撒水すると, 葉温は0℃に保持され被害を完全にまぬがれることができた。
    3) 不連続撒水の場合その効果は, 大気中の湿度の多少によつて影響された。
    すなわち, 露点温度の低い場合は, 撒水によつて葉温が下げられ, 葉面にできた氷が組織内の凍結を促し幼葉に致命的な害を与えた。そのため不連続撒水区は無処理区よりも反つて被害が重かつた。
    大気中の水蒸気が飽和している場合は, 不連続撒水によつて葉温を下げることはなかつたが, 氷結の開始は無処理よりも早く氷結の持続時間が長かつた。
  • 有本 肇
    1959 年 28 巻 5 号 p. 327-331
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    多条繰糸においてケンネルよりのより数と巻取速度を変えて繰糸した21中生糸につき, 顕微鏡により両者がその断面形にいかなる影響を与えているかについて検討した結果, 次の諸点が明らかにされた。
    1) 無より区にあつては巻取速度の如何にかかわらず, 充実度は小さく, 凹凸係数ならびに扁平度は大きくなり, 断面形はリボン状に扁平となり他のものに比して明瞭な差異が認められる。
    2) より数ならびに巻取速度の影響は充実度ならびに扁平度についてはほとんど認められない。
    3) 凹凸係数にはより数ならびに巻取速度の影響が認められる。しかし生糸の断面形は種々雑多にして不斉一なため, 凹凸係数の大小にのみ頼つて生糸断面形の凹凸の大小を論ずることは誤りをおかし易いと判断される。
    以上のことよりより数ならびに巻取速度を変えることに依つて, 生糸断面形を特に円くすることに大きな期待は持てないが, しかし5回以上よりをかけておれば, 無より区のごとき極端な (セリプレーン板上で肉眼でも見分けられるような) 扁平生糸を得ることはまず無いと言える。
  • 渡辺 文吉郎, 高木 文男
    1959 年 28 巻 5 号 p. 332-333
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    Acmaeops Proteus (鞘翅目・天牛科) に寄生する糸状菌
    茶樹の白紋羽病に関する研究III
    菌の生育に及ぼす培地の組成の影響と培養濾液の植物に対する毒性について
    クロールピクリンによるラミー白紋羽病の防除
    紫外線吸収体
    CREとCRT試験機で試験する際の織物の切断時間と切断荷重との関係についての研究
  • 1959 年 28 巻 5 号 p. 334
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
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