日本蚕糸学雑誌
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生糸の断面形におよぼすケンネルよりならびに巻取速度の影響 (第1報)
有本 肇
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1959 年 28 巻 5 号 p. 327-331

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抄録

多条繰糸においてケンネルよりのより数と巻取速度を変えて繰糸した21中生糸につき, 顕微鏡により両者がその断面形にいかなる影響を与えているかについて検討した結果, 次の諸点が明らかにされた。
1) 無より区にあつては巻取速度の如何にかかわらず, 充実度は小さく, 凹凸係数ならびに扁平度は大きくなり, 断面形はリボン状に扁平となり他のものに比して明瞭な差異が認められる。
2) より数ならびに巻取速度の影響は充実度ならびに扁平度についてはほとんど認められない。
3) 凹凸係数にはより数ならびに巻取速度の影響が認められる。しかし生糸の断面形は種々雑多にして不斉一なため, 凹凸係数の大小にのみ頼つて生糸断面形の凹凸の大小を論ずることは誤りをおかし易いと判断される。
以上のことよりより数ならびに巻取速度を変えることに依つて, 生糸断面形を特に円くすることに大きな期待は持てないが, しかし5回以上よりをかけておれば, 無より区のごとき極端な (セリプレーン板上で肉眼でも見分けられるような) 扁平生糸を得ることはまず無いと言える。

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