日本蚕糸学雑誌
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桑の炭水化物に関する研究
秋, 冬期における桑条のラフィノースおよびスタキオースの変化と桑品種との関係
柏田 豊
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1961 年 30 巻 3 号 p. 206-210

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抄録

秋, 冬期における桑条の糖の変化と桑品種との関係について, 1954年度に行った第III報の成績と年度および試験地の違いによる主として, 気候条件の相違にもとづく差異を検討する目的で, 1955年度に東京都八王子市, 1956および1959年度に兵庫県日高町において行った, 数品種の桑条の秋, 冬期のラフィノース, スタキオース出現の遅速に関する実験の概要は次のとおりである.
1) ラフィノースおよびスタキオースの出現は1955, 1956および1959年度はいずれも1954年度よりも遅い傾向がある.
2) 1955年度は, 蔓早生, 市平以外の大部分の品種のスタキオースは遅く, 一時に出現した. 1956, 1959年度も同様の傾向があり, 遅いものでは品種的特性が認めがたい.
3) 蔓早生, 市平または遠州高助など主としてヤマグワ系品種は各年度を通じて両糖の出現が早く, 確実に早生系品種と認められる.
4) 気候的条件として, 1954年度は10月中に5℃ 前後の最低温度が早く, しばしばおとずれていることが特異であって, 両糖の早い出現に対してはその時期の低温遭遇が大きな誘因であると推測する.

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