日本蚕糸学雑誌
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異系交雑の後代, とくにF2における選抜効果について
小林 悦雄
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1962 年 31 巻 2 号 p. 108-113

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抄録

1. 交雑原種のF2を出発点として選抜を行なう場合におけるF2の選抜効果, とくに環境分散が大きい場合の選抜効果を問題として研究を行なった。
2. 選抜実験の対象としては繭層重を選んだ。繭層重の大きい品種と比較的小さい品種のF11蛾区からF2を作り, 環境分散の比較的大きい夏蚕期にこれを飼育して, 得られた繭について繭層重の大きさに従い5群を選抜した。F2における選抜の効果を一層明瞭にするため以後毎代プラス方向の強い選抜を行ない, 各群間の相対値をF6まで調べた。
3. 繭層重については同様の選抜を4回繰返したF6においても, 上位群は平均群より高い値を示し下位群は遥に劣った。このことはF2の選抜が非常に有効であったことを示す。
4. 平均値よりの分散 (標準偏差) は飼育時期により著るしい変動を示し一定の傾向を認め得なかったが, このことは関係遺伝子数がかなり多数によること, 全分散のうち環境分散の割合がかなり大きいことを示している。
5. 全繭重については特定の選抜は行なわなかったが, 上位群は重く下位群は軽い傾向を示した。
6. 経過時数についても全繭重と同様の傾向が見られ, 両者共繭層重との間の遺伝相関によるものとした。

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