日本蚕糸学雑誌
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こうじかび病菌の蚕具材内侵入に関する研究
青木 襄児
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1962 年 31 巻 6 号 p. 371-377

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抄録

スギ, マツ, タケなどの蚕具用材内への病原菌の侵入様相および材内潜在菌の蚕に対する侵害の可能性を, こうじかび病菌を主とし, 白きょう病菌および緑きょう病菌についても比較検討した。
こうじかび病菌の菌糸は材表面の破壊された細胞内に侵入するが, とくに横断面から放射組織 (スギ), 篩管 (タケ) などによく侵入する。分生胞子は主として材表面に形成されるが, その一部は離脱して横断面から, 道管, 篩管あるいは仮道管などに入り込んで潜在する。
白きょう病菌および緑きょう病菌の材内侵入はほとんど認められない。
18℃, 24℃および30℃の各温度下では高温ほどこうじかび病菌の材内侵入が容易である。また潜在菌が材表面に出現するまでの時間は, 20℃, 25℃, 30℃および35℃の各温度下では, 30C°の場合に最も短かい。
掃き立てと同時に蚕座に表面殺菌したこうじかび病菌潜在ブロックを置くと, 蚕は稚蚕期中に罹病する。

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