日本蚕糸学雑誌
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カイコの絹糸腺における外層セリシンの造成について
赤井 弘
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1962 年 31 巻 6 号 p. 407-412

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抄録

5齢後期におけるカイコの中部糸腺前区の腺細胞を電子顕微鏡で観察した。
1.核内には核仁および核仁付随の染色質と推定される多数の徴小顆粒集団が分布し, 後者は核孔を通して細胞質へ放出される。
2.核周辺の細胞質部には, 粗面小胞体, 糸粒体, セリシソ小滴, 滴状セリシン, 顆粒状物を含む分泌物およびリピッド小体などが観察される。
3.セリシン小滴は粗面小胞体の間隙および粗面小胞体に接して造成され, 合流して滴状セリシンを形成する。前者は電子密度が著しく低いが後者は不均一な電子密度を示す。
4.外層セリシンは粗面小胞体で造成されるが, この造成には核から放出された核仁付随の染色質に由来する微小顆粒および糸粒体が密探な関係にあるものと考えられる。

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