日本蚕糸学雑誌
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倍数性桑樹に関する研究
育成倍数性桑樹の組織形態学的観察
関 博夫押金 健吾
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1963 年 32 巻 2 号 p. 97-107

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抄録

著者等は人為倍数性桑樹の特性に関する基礎的研究として, 当研究室で育成した三倍性桑樹 (上桑305号) および四倍性桑樹 (上桑401, 402号) における葉・条および根の各部組織について観察を行ない, これ等の母樹である二倍性桑樹 (改良鼠返, 鼠返) と比較調査して, 次の結果を得た。
(1) 葉部: 成葉における葉肉および葉脈の両組織は, 二倍体に比して三倍・四倍体とも巨大性を示し, 特に四倍体の海綿状組織層は極めて厚い。
(2) 条部: 主条の皮部・木質部および髄部の組織別観察並びに各部の大きさの割合を測定した結果, 特に四倍体は二倍体に比して皮部が厚く, 髄部は著しく大となり, 木質部の割合は小さい。また四倍体は二倍体に比して木質導管は小形で数が多い傾向を示し, 木質柔組織の細胞は極めて大形である。
(3) 根部: 三, 四倍体は二倍体に比して皮部及び木質部の各組織とも巨大性を示し, その割合は皮部が大きく, 木質部が小さい。また木質導管の大きさおよび数, 木質柔組織の細胞の大きさ等も条の場合と同様である。

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