日本蚕糸学雑誌
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晩秋蚕期およびそれ以降の桑葉粉末を主体とした人工飼料による蚕の飼育成績
岩成 義才大野 功恵
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1969 年 38 巻 4 号 p. 307-315

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抄録

1966年は小金井農場の樹令18年の改良鼠返の夏切新梢の上位葉と中位葉, 府中農場の植付2年目の改良鼠返の全芽育成新梢の上位葉と下位葉の4区, 1967年は府中農場の植付3年目の改良鼠返および一の瀬の夏切新梢の上位葉, 中位葉および下位葉の6区につき, 9月中旬より11月上旬にわたり15日または10日おきに摘葉し, その乾燥粉末を主体とした人工飼料を用いて蟻蚕より15~20日間飼育し, その生育を見るとともに, 用いた桑葉中の糖とタンパクの含量を測定し, 生育との関係を見た。
1) 蚕の生育は生長, 体重増加, 生存率とも上位葉のほうが中位葉あるいは下位葉にくらべて良く, また同一葉位では採葉時期の早いものほど良い。
2) 桑葉中の水溶性糖は10月下旬~11月上旬までは増加するがその後は減少する。一方粗タンパクは採葉時期の早いものほど多い。
3) 最も生育の良かった小金井農場9月15日採取の上位葉を用いた飼料 (A-1区) と同一の糖, タンパク含量ならびに比率となるように, 他の区のものにタンパク単独あるいは糖とタンパクを添加した飼料を作りそれで飼育した結果, 添加の効果は多少は見られたが, A-1区と同じ生育を示したものはなかった。

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