日本蚕糸学雑誌
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家蚕幼虫の5齢期における血液遊離アミノ酸組成の変化とその雌雄差
井口 民夫
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1972 年 41 巻 1 号 p. 44-50

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抄録

5齢幼虫の血液遊離アミノ酸を発育階梯および雌雄ごとに分折し, つぎの結果を得た。
(1) 必須アミノ酸のうちArg, Ileu, Leu, Val, Thrは脱皮後食桑によって急激に増加するが, その後発育に伴って減少する。しかしPhe, Met, His, Lysはそれぞれ特徴ある消長を示した。
(2) 絹糸蛋白質の主要アミノ酸の中で, Gly, Ala, Ser は吐糸中の減少が急激であったが, Tyrの消長にはこのような特徴ある現象はみられなかった。
(3) Cystaは雌では発育に伴って増加するが, 雄では次第に減少し, 吐糸後再び増加する。このことから含硫アミノ酸の代謝活性は雌雄差のあることが考えられる。
(4) 血液遊離アミノ酸組成は5齢の前半では雌雄間に大きな差異は認められないが, 5齢後半, ことに吐糸期に大きな差異を示すことが判明した。

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