日本蚕糸学雑誌
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2-Chloroethanephosphonic acid による桑の成長抑制に対するジベレリンの効果
(1) 梢端の成長に対する影響
岩田 益中川 泉
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1972 年 41 巻 4 号 p. 294-300

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抄録

成長盛期の条の下部へ脱葉促進の目的でエスレルを散布すると梢端部の成長も抑制される。これはその後における桑の生育と多収穫の点から問題があるので, エスレル散布によって生ずる成長抑制を回避するため, ジベレリン (GA) の効果を明らかにした。
1. エスレル (梢端16葉から基部まで3,000ppm液) の散布日を基準に3日前, 当日, 3日後にそれぞれ梢端にGAの200ppm液を散布したところ, エスレルの被散布葉はほとんど離脱し, GAを散布した桑はエスレル単用に比べ梢端部の成長抑制はかなり軽減され, 30日後における母条の葉量は摘葉処理100に対しエスレル単用32, GA散布は約80前後であった。
2. ジベレリン (濃度50, 100, 200ppm) を梢端15葉位まで散布した桑に対し, エスレルを梢端16葉位から基部まで散布したところ, エスレル散布葉はほとんど離脱し, 散布後初期の梢端部の成長はGAの高濃度ほどよかったが, 側芽が多く発芽成長したためにその後低下した。45日後における母条の葉量は摘葉処理区100に対し, エスレル単用84, ジベレリン散布の各区は61~68であったが, 再発枝との合計ではエスレル+ジベレリン100ppm液および200ppm各区は摘葉区に対し約50%増であった。
3. エスレルによる形態的変化, ジベレリン散布後における梢端部の成長ならびに母条の葉量などから, ジベレリンの散布時期はエスレル散布前がやや効果的であり, その濃度は側芽の発芽成長と関係があって, 100ppmが適当とみられた。

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