日本蚕糸学雑誌
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桑葉の生長にともなう炭酸固定及びグリコール酸酸化酵素活性の変化
山下 忠明堤 道雄吉成 修一
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1975 年 44 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

桑葉の生育にともなう, 光合成速度, RuDPカルボキシラーゼ, グリコール酸酸化酵素及び3-PGAホスフアターゼ活性の変化をしらべた。光合成的酸素放出速度及びRuDPカルボキシラーゼ, グリコール酸酸化酵素活性は若葉よりも成熟葉で高くなる。これとは逆に3-PGAホスフアターゼ活性は若葉の方が高い。
光合成により14CO2を短時間固定させると成熟葉では14Cは主としてアラニン, グリセリン酸, 糖, グリシン及びセリンにとり込まれた。一方若葉ではこれらの14C-化合物に加えて, 3-PGAに最も多くの14Cがとり込まれていた。
14C-セリン分子内での14Cの分布は若葉及び成熟葉の間で差はなくいずれも各炭素原子にほぼ均等に14Cが分布していた。短時間の14CO2固定でセリンが均等にラベルされることはセリンがグリコール酸を経て生成されることを示している。14C-アラニンでは主としてカルボキシル基へ14Cが分布しているがその程度は若葉の方で高い。このことはアラニンが3-PGAから生成されるとすればRuDPカルボキシラーゼによるCO2固定によって生成された3-PGAからアラニンの生成される割合が若葉で高いことを示していると考えられる。

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