日本蚕糸学雑誌
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雌蚕における化蛹後の高温密閉環境と不着色死卵の発現
須貝 悦治神徳 興甫香川 敏昭
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1975 年 44 巻 1 号 p. 68-72

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抄録

雌蚕における化蛹後の高温密閉環境と不着色死卵の発現について実験し次の結果を得た。
1. 雌蛹を高温密閉環境に保護すると, 化蛹5日目頃までは不着色死卵は発現しないが, その後の経過にしたがって増加し, 特に蛹末期および蛾で処理したものでは産下卵のほぼ100%が不着色死卵となった。
2. 蛹末期に35℃で24時間密閉処理した場合, 蛹体重1g当りの空気容量が150cm3以上であれば不着色死卵はほとんど発現しないが, 80cm3以下になると産下卵の大部分が不着色死卵となった。また, 処理温度が25℃以下では不着色死卵は発現しないが, 30℃を境に増加し, 35℃を越えると産下卵のほぼ100%が不着色死卵となった。
3. これらの不着色死卵は, 受精して核分裂も行なわれているが, 完全な胚盤葉または胚形成までには至らずに致死する初期死卵であることが観察された。

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