1976 年 45 巻 4 号 p. 358-364
桑葉凍結乾燥粉末を水と練合した場合に生成する“におい”にカイコ幼虫が誘引されることを確認した。しかしてその誘引成分の決定に, ヘッドスペースベーパーを濃縮する新しい方法を採用し, つづいてガスクロマトグラフィーによって分析した。低沸点溜出部中の一ピークに注目して, この溜出成分をジメチルチオエーテルと推定した。またヘッドスペースベーパーを昇汞水中に導入し, 水銀塩をえて, ジメチルチオエーテルの存在を証明した。しかるのち, 生物テストを通じて, ジメチルチオエーテルがカイコ幼虫の誘引物質であることを認めた。