日本蚕糸学雑誌
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蚕の小型軟化病ウイルスに関する研究
II. ウイルスの株別による2・3の性状
古田 要二
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1977 年 46 巻 4 号 p. 353-358

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抄録

IFV, SFV, 松井継代株, 姫野継代株および伊那株について蚕品種別感受性, 血清学的性状, ウイルスのCsClによる平衡密度勾配遠心法による精製および電子顕微鏡による観察を行った。
1. 蚕品種別感受性では, SFVと伊那株が同一傾向を示し, 支124号, 黒子および大造に感染しなかった。松井継代株および姫野継代株はIFVと同一傾向を示し, 日124号における感染力価が極めて低く, SFVおよび伊那株の混在しないことが明らかにされた。
2. 血清学的性状としてOUCHTERLONY法および螢光抗体法を行ったところ, 抗原的にはSFVと伊那株は共通であり, 松井継代株および姫野継代株はIFVと共通であることが示された。
3. ウイルスのCsClによる平衡密度勾配遠心法による精製および電子顕微鏡観察を行ったところ, 精製では伊那株はSFVと同様に巾の広いバンドとなり, 松井継代株および姫野継代株には2~3本の斉一なバンドが形成された。このバンドの部分を電子顕微鏡で観察したところ, 伊那株は直径20nmの均一な粒子のみからなり, SFVとほぼ同じ大きさであった。松井継代株および姫野継代株には直径28nmのIFV粒子と直径14nmの極小粒子が多数観察され, 直径21~23nmの粒子は観察されなかった。

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